ラビリンスの回廊
ヴァンが、玲奈の顔色の変化を逃すまいとするかのように、ジッと見つめる。
「レイナさん。
人は、追及されたくない質問のときに、何て答えるか知ってますか?
『何で?』って言うんですよ……」
にこりと笑った顔が、なぜか能面のように無表情にひらたく感じる。
「なんの…ことだよ…」
精一杯の虚勢を張って、玲奈はヴァンの視線を押し返そうと睨み付ける。
それを気にすることなく、ヴァンはにこやかに話を続ける。
ただし、纏う空気は穏やかではない。
「さあ、何でしょうね?
ここからはあくまでも仮定の話…いえ、推測の域を出ません。
まずひとつ。
『光』とは高貴な乙女である。
それから、高貴な乙女は光を纏っている……つまり、金色の髪をしている。
……レイナさんは、我々と出逢ってからずっとフードをかぶってますね。
湯あみしないのも、それが関係しているんじゃないですか?
ああそれから。
いとこだというのにどこかよそよそしく、レイナさんが特別扱いをされているのは、どうしてですか?」