he-rA-Ku-re-SU
三章
メアリーの両親は20年前のベルヴァー襲来の影響で亡くなった。
当時、メアリー6歳。ジェーン2歳。
戦災孤児はたくさん溢れていた。
スラムで泥水をすすって生きてきた幼少時代。ゴミ箱から、ノートや参考書を拾い集め勉強をしていた幼年期。
弟だけが、唯一の救いだった。
『姉ちゃんは、頭いいから、カレッジに進むべきだよ。大丈夫、学費は俺が何とかするからさ!』
弟の必死の説得で、ハーバードにまで進んだ。
奨学生にもなれた。
学費や生活費は、弟が必死に稼いでくれた。
弟だけが、唯一の救いだった。
『たまには、甘えなさいよ。私は、貴方のお姉さんなのよ。』
『バカだな。男が女なんかに甘えられるかよ。』
衝突もした。ケンカもした。それでも・・・唯一の家族だった。
生き残った、かけがえのない存在だった。