he-rA-Ku-re-SU
四章
一節
「ヘラクレス、起動!」
管制室の指令席にメアリーは腰掛ける。
先ほど、無人だったオペレーター席には、系6人の優秀なスタッフが腰掛けている。
チェンは、私の隣。
サブ指令という立ち居地。
ある意味、一番気楽なポジションかもしれないな。
「ヘラクレス、起動します。」
一番右に腰掛けている、メガネをかけた男性が、元気な声を上げる。
黒い球体に32本の腕がある奇妙なデザインをした、ヘラクレス。
しかし、オペレーターが起動コードを入力した途端、その腕が一斉にたたまれ、漆黒の球体へと変化する。
「先に偵察機からの発信要請が出ています。」
左から二番目に腰掛けている女性のオペレーターからの声。
偵察機・・・アーサーか・・・。
「つなぎなさい。」
「はい。」
女性オペレーターは目の前のコンピューターをカチカチといじり、メアリーの目の前のモニターに映像を映し出す。
そこに映っていたのは、軍用ヘルメットに身を包んだ、アーサーの姿。