he-rA-Ku-re-SU
「それにしても、太陽探査計画なんて、初めて聞いたわ。」
もっとも、それはこのような世界になる前の計画なのだろうけど、そのような話を露のほども聞かされてなかったメアリーには驚きでしかない。
「極秘裏・・・というよりは、発表段階までは行かない計画でしたからね。それでも、素材となる合金の開発には成功していたようです。ただ、あそこまで飛ばせる推力と予算の関係がうまくいかずに・・・」
「そりゃ、太陽ですからね。単純に距離の問題ではないわ。でも、この合金は素敵よ。」
メアリーはチェンの持ってきた資料を眺めながら、思わずにやける。
太陽探査船。
世界が、こんなことになる前に、計画された無謀とも思える作戦。
その最大の焦点は、『太陽に着陸』することだった。
イカロス合金はそのために開発された素材。
強度、軽量、電磁波妨害妨害、現在手に入る合金の中では最強といって過言ではないだろう。