he-rA-Ku-re-SU
「バーニア点火。R-T-W、20」
ヘラクレスには、球体という利点を活かし、360度、全方向にバーニアが付けられている。
それらは、全てイニシャルで表示されており、今の指令は、R、T、Wのバーニアを20%の出力で放出しろ・・・となる。
これらバーニアの点火位置と、出力量で、ヘラクレスはありとあらゆる方向に縦横無尽に走り回ることが可能なのだ。
機動性に重点を置いた機体。
人型では、非効率なのだよ、666部隊さん。
「了解、バーニア点火。ヘラクレス加速します。」
初速でマッハ6以上の速度を出したというのに、このバーニアの点火により、ヘラクレスには回転がかかり、さらに速度を上げる。
バーニア全開でまっすぐ進むよりは、球体という利点を活かし、わずかなバーニアの出力で回転をかけたほうが、エネルギー効率もよく、速度が上がるのも道理。
ヘラクレスは、効率性において、もっとも優れたデザインをしている。
「敵接触位置まで、残り、30秒。」
『おいおい・・・俺の方がハンデもらっているのに、もう着くのかよ?コレでも、米軍最速マシーンに乗ってるんだぜ。』
アーサーからの通信。
「どんなに早く走れる動物も、ピッチングマシーンのボールには勝てないわ。それでも、アーサーの到着は、予定以上の早さよ。凄いのね。」
正直、見くびっていたよ。
口先だけじゃなかったんだな。