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「あくまで理論上であって、実際に、この計画は頓挫していますがね。」


「科学者は理論で語るものよ。十分だわ。」


 そこまで話したところで、メアリーとチェンは、ある一室の前で止まる。


 カードキーを通して、ロックを解除。


 中に入ると、そこには巨大な管制室。


 扇形に配備されたコンピューターが、配備されており、そこに6人分の席が用意されていた。


 今は、まだ誰もいないが、あと1時間もすれば、みんな揃ってくれるだろう。


 そして、そんな管制室から、防弾ガラス越しに見える物体は、あまりにも巨大な、異質な漆黒のマシーン。


 全長40メートルにもなろうとする、巨大な球体には、計32本のアームがついており、さらには、360度、全方向に巨大なブースターがついている。


 見るからに、グロテクスな物体。


 どう見ても、『空を飛べる』デザインではないのに、この物体には、車輪も翼も見ることが出来ない。


 アメリカ空軍技術開発部が作り上げた、史上最強の無人兵器『ヘラクレス』


 メアリーがその生涯をかけて作り上げた、最高傑作だ。


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