he-rA-Ku-re-SU


「機体は破棄されているはずじゃないの!」


 怒鳴り声を上げるが・・・


『やっぱり、姉さんなんだろう?会いたかった。』


 声は間違いなく、二年前に消息を絶った、弟・・・ジェーンのものだった。


 ふざけるな。どういうことだ?わけを説明しろ!誰か、この状況を説明しろ!


「主任、ここは主任に軍規17条の施行を宣言します。相手がデーモンタイプの場合、最悪のケースを考えるべきです。」


 軍規17条?


「ねぇ、軍規17条ってなに?」


 オペレーターの一人が聞いて。


「バカ、スパイ容疑だよ。」


 もう一人のオペレーターが答えた。


 スパイ容疑。


 誰に?私に?


「違います。軍規17条の正確な文面は『殲滅対象に身内、もしくは本人と深くかかわりのある者がいる、あるいはその可能性が高い場合、作戦に参加する権利を剥奪する』というものです。」


 なるほど、それが転じて『スパイ容疑』となるわけか・・・。


 そんな規則を正確に覚えてるなんて生真面目なチェンらしいわね。


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