he-rA-Ku-re-SU
四節
『やっぱり姉さんだったんだ。姉さん、どうしてこんな酷いことをするんだよ?』
「酷いこと?意味が分からないわ。」
何が言いたいの?
コイツは?
『ベルヴァーと人間は共存できるんだ。僕がここにいるようにね。それなのに、コレでは、まるで虐殺だ。姉さんはいつから、こんな酷いことをするようになったのさ?』
・・・・・ベルヴァーと人間の共存?
何を言ってるの?
「あなた、私たちの親が誰に殺されたのか、知らないわけじゃないでしょ?」
ベルヴァーの襲撃、両親は殺され、私たちは幼少の頃にスラムに放り出された。
泥水をすすって生きてきた時代のことは忘れない。
あなただって、味わったでしょ?
腐ったパンの味、にごった水の味、固い床の寝床。冬の隙間風。
それを生み出したベルヴァーを許せというの?あなたは・・・
『そんな憎しみの連鎖を断ち切るために、僕がいるんだ。姉さん話を聞いてよ。』
「主任、耳を貸すべきではありません。再度言います。軍規17条の施行を・・・」
「チェンは黙ってて!」
声が張りあがった。
分かってるさ。こんな言い分、聞くべきことではない。
相手の意図は何であるのかなんて、バカでも分かる。
共存だと、ふざけるな。
徹底抗戦の構えを最初に見せたのは、そっちだろう?
共存が出来るのなら、まずは話し合いから入るべきだった。