he-rA-Ku-re-SU


「陸軍に援軍要請しますか?」


 オペレーターの一人が聞いてくるが・・・


「相手は新種のウィルスを持っています。出来ることならヘラクレス単体で片付けるほうが望ましいです」


 さすがはチェン。


「最悪の場合、ヘラクレスごとミサイル撃破も考慮すべきよ。」


 一応、口出しする権利は自分にもある。


 プログラミングをしながら、話す余裕ぐらいはあるのだ。


「しかし、それでは・・・」


 チェンが言ってくるが・・・


「ヘラクレスが完全に侵食されては、現段階で抵抗できる武器がないわ。無論、そんなこと私が許さないけど、事態は最悪のことも考慮すべきよ。」


 無人機だから大丈夫だというわけじゃない。


 ヘラクレスには、並々ならない愛着がある。


 それをミサイルで撃破するというのは、自分を含めここにいる全員が認めたくないだろう。


 しかし、それと同時に、誰だって見たくないだろう?


 あんなに苦労して作られたヘラクレスが、私たちの町を壊していく様子なんて・・・。


「Hバーニア沈下。浮上できません。」


 とうとう、浮上自体が出来なくなったか・・・。


 やっぱり、このウィルス・・・かつて発見されたベルヴァーウィルス型に比べて、かなりの改造が施されている。


 伊達に私の弟を模しているわけではない・・・な・・・。


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