he-rA-Ku-re-SU
二章
『そもそも、この星は人間のものと言う定義はどこにもアリマセン。かつて、恐竜が滅んだ後、世界を支配したのは大型哺乳類たちでした。人間は彼らを排除することによって、ここまでの発展を遂げたのです。しかし今、新たな脅威が現れ、人間を侵食しようとしています。でも、それこそがこの星の進化を辿る自然の成り立ちなのです。』
つまり、ベルヴァーこそが、人間に代わり新しいこの星の王者となるべき存在だと、言いたいのですね。このコメンテーターは・・・。
「よく、この番組が報道規制を受けないものね。」
食堂で、共同テレビを眺めながら、メアリーは呆れた声を出す。
目の前には、ハンバーガーとコーラ。
合成食品だというコトを考えなければ、けっこう美味だ。
この辺りは、味オンチと呼ばれるアメリカ人でよかったと思う。
日本やイタリアのような、舌が肥えている国では、食糧確保も大変だろうな。
グルメには行きにくい時代だ。
「私たちの国が自由の理念を捨てたら、せっかくベルヴァー討伐に燃えている国民の士気が下がってしまいますよ。」
それでも、この番組は確実に士気を下げるだろうに・・・。