ずっと好きだった
゚*。゚Step:1゚*。゚
見上げた空は青々とし、初夏の太陽が眩しいくらいに照りつけ、その暑さが肌を痛める。
賑やかな昼休み…あたしは青空を見上げてた。
窓から心地いい風がフワッと入り込み頬を掠める。
「あ、来た…」
響き渡るようなバイクのエンジン音。
机に頬杖を付き、窓際の一番端の席から校門を眺める。
一台のバイクがエンジンを吹かしながら駐輪場へと向かう。
その音に気付いた生徒達は高い声を出し窓のサッシに手を置き口を開いていく。
「やっぱカケル君って格好いいよね」
「あたし、あーゆー顔、大好き」
「でもさ、結構ヤってるって噂だよ?B組の遠藤さんともヤったとか聞いたしC組の山内さんも…」
「でも格好いいもんねぇ…」
毎日絶やさずに流れ込むのは一人の男の話。
女達の甘ったるい声を耳にしながら、あたしは頬杖を付いていた手を崩し、机に顔を伏せた。
何も遮るように…
「…七瀬さん…」
暫くして不意に聞こえた声に顔を上げると、黒髪の男が微笑んで立っていた。
「…何?」
「これ、横山君に渡してほしいんだけど…」
そう言って一枚の紙切れをあたしに差し出す。
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