ずっと好きだった

あたしは苛立ちを抑えながら学校を出て、駅前の本屋に立ち寄った。

別に得にこれと言って見たい本がある訳じゃない。

ただ、あたしは気がつけば本屋に居て、用もなくブラブラと歩いてる。


とりあえず雑誌コーナーに行って、ファッション雑誌を手に取ってパラパラと捲る。

でもすぐにあたしはパタンと雑誌を閉じて元の位置に戻し、また用もなく店内を歩き回った。


暫く歩いてあたしが目に止まったのは一冊の本。

窮屈に詰められて並んでいる本の中に“女性の魅力”そう書かれた本に目が止まり、あたしは迷う事なく手をのばしその本を棚から抜き出した。


「魅力とは、人の心を引きつけて離さない不思議な力…」


表紙に書いてある言葉をそのままあたしは口にする。

その本を開こうとした時、


「ふーん…女性の魅力ね」


そう言ってフッと馬鹿にしたような笑いが耳元で聞こえ、反射的にあたしの顔は声のした方へと向いた。


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