ずっと好きだった
そこに立っていたのはカケルと同じクラスの男で…。
あたしによく伝言板を頼んでくる男。
男はあたしが持っている本を奪い取り、表裏見てからパラパラとページを捲っていく。
「これ見て横山の気でも引こうとしてんの?」
そう言われた瞬間、何故かあたしはその男を睨みつけた。
何でこいつに言われなくちゃいけない。
しかもいつもの雰囲気と全然違う。まるでいままでの態度が嘘だったように、嫌味前回でクスクスと笑う男が途轍もなく不気味に感じた。
その耳触りな笑いに顔を逸らし、あたしはそそくさに本屋をでる。
でも、
「ねぇ、七瀬ってさ、あいつの事が好きなんだろ?」
そう言って男はあたしに近づきうっすら笑う。
「でもアイツ七瀬の気持ちには全然気づいてねぇーじゃん。そらそうだよな、誰とでも寝るただのバカ男なんだし気づく訳ねーよな」
何が言いたいのか分かんない男はクスクス笑いながらあたしの横に並んで歩き、
「アイツなんかやめとけよ」
男は低い声を出しあたしの肩を掴んだ。