ずっと好きだった

「あっ、七瀬さん発見!!あのさぁ、」


そう言ってくる女は、どうせカケルの事。

カナリ短いスカートに茶髪の髪をクルクル巻く女。


はっきし言って、カケルに近づく女は皆一緒に見えてしまう。


「あのさ、カケルの好物って何?」


突然言ってくる事は訳の分からない事で、


「は?」


あたしは思った通りの事を口に出す。


「だからカケルの好物。弁当作るから教えて」

「分かんない…」

「えっ、七瀬さん昔からカケルとの付き合い長いんでしょ?教えてくんなきゃ、あたし他の人達に勝てないじゃん」

「勝てない…?」

「そうそう、カケル狙い多いでしょ?だから何かでアピールしないとカケル覚えてくれそうにないじゃん。だから、ね?」


女はニコッと微笑んで、あたしの肩をポンポンと叩く。


勝てないって何?

しかも、あたしにいちいち聞かないで。


「…って言うか、長い付き合いだからってカケルの好物とか全くしらないから」


素っ気なく返して足を進めて行くあたしの背後から、


「何だよ、ヤリマン…」


一番言われたくない言葉を女は口にした。


< 23 / 51 >

この作品をシェア

pagetop