ずっと好きだった
もう別にいいんだ。
何言われたって別にいいんだ。
カケルの好物、本当は知ってんだけど、そんなのは誰にも教えたくない。
ただあたしの中に潜めておきたい。
甘い物が嫌いって事も、甘い卵焼きが好きじゃない事も、コーヒーはいつもブラックで…
パンだったら焼きそばパンが好きで…
お腹が空けば、いつも牛丼食べに行ってた事なんて誰にも言ってやんない。
でも…、さっきカケルが言った言葉が頭の中を駆け巡って、壊れそう。
“男作れよ?”
本気で言ってんの?本気で…
だったら本気で作っちゃうよ、カケル…
「あ、リオちゃん?」
教室に足を踏み入れた時、背後から声がし、あたしは振り替える。
その目の先にはタクヤがニコッって笑ってて、
「何?」
「元気ないね?」
今の状況を把握しているかのような言葉をタクヤは吐き出した。
「別に…」
「そっか…。ならいいけど、ちょっと食堂行かね?」
「何で?」
「腹減ったから。1人で行くのもなんだし…よかっから一緒にどう?」
「いいけど…」
「じゃあ決定」
そう言って、ズカズカと歩いて行くタクヤの後をあたしは追った。