ずっと好きだった

もう別にいいんだ。

何言われたって別にいいんだ。


カケルの好物、本当は知ってんだけど、そんなのは誰にも教えたくない。

ただあたしの中に潜めておきたい。


甘い物が嫌いって事も、甘い卵焼きが好きじゃない事も、コーヒーはいつもブラックで…

パンだったら焼きそばパンが好きで…


お腹が空けば、いつも牛丼食べに行ってた事なんて誰にも言ってやんない。


でも…、さっきカケルが言った言葉が頭の中を駆け巡って、壊れそう。



“男作れよ?”

本気で言ってんの?本気で…


だったら本気で作っちゃうよ、カケル…



「あ、リオちゃん?」


教室に足を踏み入れた時、背後から声がし、あたしは振り替える。

その目の先にはタクヤがニコッって笑ってて、


「何?」

「元気ないね?」


今の状況を把握しているかのような言葉をタクヤは吐き出した。


「別に…」

「そっか…。ならいいけど、ちょっと食堂行かね?」

「何で?」

「腹減ったから。1人で行くのもなんだし…よかっから一緒にどう?」

「いいけど…」

「じゃあ決定」


そう言って、ズカズカと歩いて行くタクヤの後をあたしは追った。


< 24 / 51 >

この作品をシェア

pagetop