ずっと好きだった

「リオちゃん…」


不意に聞こえた声にハッとすると、タクヤの方に向いたまま座ってて、目の前にタクヤの手が行き来する。


「あ、ごめん…」

「何？どした？そんな見つめちゃって」

「あ、いや…。…タクヤはさ、何で彼女とか作らないの？あっ、もしかしてもう居てるとか？」


何でこんな事を聞いたのか自分でも分からないあたしに、タクヤは少しだけ表情を崩す。


その表情を見て、嫌な事を聞いたかもって思ったあたしは“ごめん”って口を開こうとした時、


「女はいねぇよ。つーか作れねぇな…俺、こんなんだし」


タクヤの呆れた様な声が口から漏れた。


「こんなんって？」

「ん？リオちゃんは知らないほうがいいよ」

「何が？」


問い詰めるあたしにタクヤは苦笑い気味に笑ってタバコを口にくわえる。


勢いよく吸ったタクヤは口から白い煙を吐き出しながら、


「だって俺、優しくねぇもん」


そう言ってタバコを地面に押しつぶした。