ずっと好きだった
ドアを開け屋上の真ん中にある小さなコンクリートの小屋の後ろを覗き込み、そこにいる人物に思わずため息が零れる。
壁に背を付けタバコを吸いながら空を見上げる男。
「来て即行ここはないんじゃないの?」
そう言って顔を覗かせカケルの隣に腰を下ろす。
「おー、リオちゃんおはよ」
微笑んでくるカケルにシャーペンと進路希望の紙を渡す。
「何これ?」
カケルは不思議そうにその紙を受け取り目を通す。
「進路希望の紙。今日中に出せってさ」
「めんどくせ…」
「ちゃんと出しなよ。またあたしが文句言われんだから」
“タバコ”
そう付け加えてあたしはカケルに手を出す。
カケルはあたしの手に目線を落とし胸ポケットから1本抜き取ったタバコをあたしに差し出した。