ずっと好きだった

視界がボヤケそうになる。

“なんでそう誰とでもヤんのかな?”

“何でって別に断る理由ないし…”


カケルとの会話が頭の中を過る。


あたしは握っていたドアノブを強く握り、力を込めた。

手の平が痛くなるくらいに強く。


そのまま力を込めたままドアを閉めなおし、あたしは急いで階段を掛け降りた。

教室に戻り鞄を掴んで階段を降りる。




「だろ、だから後悔するって言っただろ」


下駄箱に着いた瞬間、待ち伏せしてたかのように直輝が現れ、


「アイツなんか止めとけよ」


泣きたくなるような言葉を吐き出してくる。

あたしは顔も合わせず声も出さずと行った感じで、靴に履き替え校舎を飛び出した。


なんとなく理解した。

あの男が、あたしに近づいていた理由が…


きっと、あたしがカケルに会うと、必ずあたしが嫌な思いをするから…


でも、そんな事、前々から分かってたもん。

分かっててもカケルが好きなんだもん。


だけど…


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