ずっと好きだった

「じゃあ!!」


あたしはタクヤが何かを言ってくる前にその場を離れた。


「おい」


案の定、背後からタクヤの声が聞こえてきたけど、あたしは教室に入る事なく階段に向かって足を進めた。


捨てるよりマシ。タクヤの為に作ったと思えばいいんだし。

食べてくれるかは分かんないけど、捨てて惨めになるくらいなら誰かにあげるほうがマシ。





「リオちゃん…」


階段を途中まで降りた時、不意に聞こえてきた不愉快な声に、またため息が漏れる。

なんで今日はこんなに苛つくんだろう。


この学校に来てからロクな事がない。

皆、皆、あたしを見るたび嫌な目で見下して――…


「何?」


とりあえず声を出すあたしに、


「今日だけ付き合ってよ」


そう言って直樹はあたしの腕を掴み階段を降りて行く。


「ちょ、ちょっと何すんのよ!!」

「何ってデート」

「ま、待って!あたし、あんたとは付き合う気ないから」

「アイツの事ばっか考えてんのも無駄と思うよ?」


引っ張られて連れてこられた場所は昇降口を出てすぐの人気は少ない所で、着いた途端、あたしは壁に押し付けられていた。


「…痛っ」


押さえつけられている肩が痛くて、つい声が漏れる。


「考えすぎてもよくないよ?だから俺が忘れさせてあげる」

「やめて!!」


今にもこの男の手がシャツの中に入りそうになったのを、咄嗟に掴み、あたしは声を上げた。


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