ずっと好きだった
「そんな事ぐらいで怒んなよ。どーせヤりまくってんだから1回くらいどーって事ないだろ?しかも、さっきいた男ともヤってたりすんだろ?」
「……」
え…さっきの男ってタクヤの事?
えっ、何言ってんのコイツ。
普段は優等生ぶってるけど頭ヤバイんじゃないの?
「他の奴らが言ってたよ?七瀬リオは簡単にヤってるって」
目の前でクスクス笑う、この男の顔が近づいてくる。
「…やっ、」
半端ない力で迫ってくる男の身体を必死に押さえて、顔を背けた時、
「馬鹿か、お前は…」
聞きなれた声に思わず目が潤んだ。
下に背けていた顔を声の方に向けると、両手をポケットに突っ込んだまま不機嫌な顔をして立っているカケルが目に入った。
「…カ…ケル」
見た瞬間、何かの糸がプツンと切れたみたいに目から落ちてくる涙が頬を伝った。
「優等生ぶって人の女に手出してんじゃねぇよ」
カケルはそう吐き捨てて、あたしの腕を掴んで不機嫌オーラで歩いて行く。