ずっと好きだった

「痛いよ」


力強く握り締めてくる右腕がジンジンと痛んで、


「馬鹿かお前は。簡単にヤられてんじゃねぇよ」


カケルは不機嫌まっしぐらでそう言って、あたしを体育館裏まで連れてきた。

着いたと同時にカケルは掴んでいたあたしの腕を離す。


本当は“ごめん”って言いたいのに、


「ほっといてよ!!カケルには関係ないじゃん」


自分でもビックリするくらいの声で叫んでいた。



「じゃあ、あのままヤられてんのか?お前は…」

「カケルには関係ないじゃん。…――もうカケルのそう言う所、うんざりするんだよ」

「……」

「女ったらしで、場所関係なく誰とでもホイホイやって…。そんなカケルにうんざりするんだよ」

「……」

「あたし、何て言われてるか知ってる?」

「……」

「誰とでもヤる女なんだって。皆がそう言ってんだって…あたし全然そんなんじゃないのに言われてんの」

「……」

「カケルがいつもそんなんだから一緒にいるあたしまで色々言われてんの!!」

「……」

「笑っちゃうよね。あたし…あたしまだ経験ないのに」


言った瞬間、自分でもどうしようもないくらいに情けない笑みが漏れた。

こんな事、言うつもりはなかったのに、ついついしゃべりすぎてエスカレートしてしまった。



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