ずっと好きだった
「誰に嫉妬?」
「リオしかいねぇだろ」
「えっ、あたしなの?」
“何で?”
付け加えるようにして、呟きカケルの腕にすっぽり埋まったまま、あたしは見上げる。
カケルはあたしの肩に顔を埋めている所為で表情は読み取れないけど、何だか淋しそうな声だけは分かった。
どうしたの、カケル――…
「お前、アイツと仲よすぎんだよ…」
カケルに言われた事が意味不明で、
「アイツって?」
あたしは小さく呟く。
「タクヤ…」
「え?タクヤ?」
「俺の前では笑顔一つださねぇのに、アイツの前だけでは笑顔振り舞いてムカつくんだよ」
“リオはアイツの事が好きなんだと思ってた…”
ポツンと呟かれた声は、微かに震えていて、カケルの腕も少しだけ震えた気がした。
それと同時にカケルは、もう少し強く抱き締める。
「何言ってんの、カケル。勘違いもほどほどにしてよ!あたしは、あたしはカケルの事、ずっと好きだったよ?」
「うん、俺も。…俺もリオが好きって気付いた」
「え、気付いたって何?」
そう問い掛けると、カケルはうっすら笑って、
「なんでもねぇよ」
抱きしめていた力を緩めて、カケルはあたしの身体を離した。