やさぐれ妊婦
この地域の保育園事情については職場の先輩方から色々聞いてはいた。
けど、まさかこれほど逼迫してるとは……。
この地域の待機児童問題が悪化したのは急速な子ども人口の増加だけではない。
この不景気のせいで働かざるを得なくなった母親が増加したこともあるのだろう。
先輩は、もう何処でもいいから押し込められただけラッキーだったと語っていた。
環境とか?利便性とか?園の雰囲気とか?そんなの言ってはいられない、と。
それは、入園時期とて同じことだという。
育休期間いっぱいは子どもと一緒にいたいなんて甘っちょろいことは許されない。
タイミングを逃してしまえばおしまいだ。
兄弟で上の子と下の子が同じ園に入れずに毎日の送り迎えに四苦八苦してる人もいる。
上の子を母親(子の祖母)に預けていた先輩は大失敗したと言っていたっけ……。
祖母の体力的負担が大きく下の子だけでも保育園にと思ったがダメだった、と。
上の子と一緒に祖母に面倒みてもらえというのが役所の回答だったらしい。
結局“一人も二人も一緒でしょ?”という判断。
“預けられる親が近くにいるだけ恵まれてる”と言われたらしい。