女優デビュー
「千夏ちゃん、学さんと仲いいよな、なんか妬ける」


奏真君がボソッとつぶやいた。


ドキン!


ちょ、ちょっと、奏真君?


前室は、キャストもスタッフさんもみんなが使う休憩室。

いつ誰が入ってくるかわからない場所でそんなことを言われて、私の心臓は一気に心拍数を上げた。


「え、あの……」


奏真君、妬ける、って、言ったよね?

それって、つまり……


でも、奏真君とは初日に食事に行ったきりだし。

何度かメールしたけど、べつに特別な内容じゃなかったし。

そりゃ、会えばいつも言葉をかけてくれて励ましてくれてたけど……


私は混乱した。


すると、奏真君は私の顔を覗き込んできた。

うわっ、奏真君、近いよっ!

奏真君の真剣な眼差しが目の前に来て、私の心臓のドキドキはマックスになった。

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