女優デビュー
「さてと。
チナツとサトルの絡みのとこだよな?
どっからやる?」

台本をパラパラめくりながら聞かれ、私は頼もうと思っていたページを告げた。

「あ、ここね。
じゃ、俺サトルやるから、チナツのセリフからどうぞ」

「はい、よろしくお願いします」


――――――
――――


1シーン分のセリフ練習が終わる頃には、最初に学さんの楽屋に入ってきたときの緊張感はなくなっていた。

学さんにいくつか直した方がいいところを教えてもらっていると、ドアがノックされた。


「ちわーす!」

入ってきたのは奏真君だった。


ドキッ!


奏真君と目が合うと、私は後ろめたさを感じた。

奏真君も、私の姿を見て驚いたようだった。


「千夏ちゃん、
……なんでここに?」

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