女優デビュー
この後も仕事があるという奏真君とはそこで別れた。


ふうっ

なんかどっと疲れちゃった。

私も帰ろうっと。

出口へ向かおうとした時、突然後ろから誰かに抱きつかれた。


ぎゃっ!


驚いて色気のない叫び声を上げ、振り返ると―――


「ナッキーさん!」


ヘアメイクのナッキーさんがニヤニヤと笑いながら立っていた。


「何するんですか!
もう、心臓止まるかと思いましたよ~」

私は驚きが過ぎ去ると、へなへなと座り込んでしまった。


「あー、ごめんごめん」

ナッキーさんは手を貸してくれ、近くの自販機コーナーに連れて行ってくれた。

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