女優デビュー
「あー、どうしよう……」
私は楽屋で何度目かわからないため息をついた。
あれから3日。
今日ももうすぐ撮影が始まる。
早めに局に入ったけど、今日の撮影後のセリフ練習をどうしようか、私は頭を悩ませていた。
悟君は例の単発ドラマの収録のため、今日も早めにあがる予定。
学さんに頼みたいけど、奏真君と約束しちゃったからなあ。
でも、ナッキーさんには奏真君に近づくなってアドバイスされたし。
あーーーー、もう!
どうしたらいいのよ!!
いっそ、もう練習止めちゃおうか。
いや、ダメダメ。
それじゃあ、いつまで経っても上達しない。
うーーーーん……
「よし、決めた!」
私は自分に活を入れるようにそう声に出して、立ち上がった。