女優デビュー
淳君も私が来たことにちょっと驚いたようだった。

「奏真君に用事?
今ちょっと学さんのところに行くって出てったけど……」


淳君の相変わらずクリッとした目がいつも以上にまん丸に見えた。

ふふ、やっぱり子犬みたい。


「あ、うん、実はちょっと頼みごとがあってね……」


そう答えながら私は、これはチャンス、と考えていた。

学さんと奏真君が一緒にいるなら、その場で二人に頼んでみればいい。

それなら、公平でしょ。

我ながら、いいアイデア!


「じゃあ、そっちに行ってみるね、ありがとう」

私は淳君に声をかけ、ドアを閉めようとした。

すると、淳君に呼び止められた。

「あ、千夏ちゃん、ちょっと待って!」

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