女優デビュー
「あの、私も『ティメンズ』に入ったんです。
これからよろしくお願いします」


第一印象が大事だから、挨拶も丁寧に。


お辞儀して頭を上げると、悟君はニコッと笑ってくれた。

「こちらこそよろしく。
石田さんに聞いてるよ。
慣れないうちは大変だと思うけど、俺でよければ力になるからなんでも聞いてね」


うわあ、いい人だあ。

顔だけじゃなくて性格もいいんだ、悟君。

なんか感激。

お母さん、見る目あるじゃん。

私もファンになっちゃいそう。

感激ついでに、この勢いでサイン頼んじゃえ!


「あの、実は私の……えっと、友達が安西さんの大ファンで、サインを頼まれてきたんですけど書いてもらえますか?」

母、って言うのは照れくさくて友達ってことにしちゃった。


悟君は快く書いてくれて、ちゃんと『ユウコさんへ』も入れてくれた。

ふう。

ミッション完了。

これで肩の荷が一つ下りた。

< 13 / 260 >

この作品をシェア

pagetop