女優デビュー
「ああ、ごめん。
今日はダメなんだ」

「え?」


あれ?

だって、さっき……


私がきょとんとしていると、奏真君は言った。

「今日は撮影の後、仕事がもうひとつ入ってるんだ。
だから、付き合えない」

「あ、そうなの?」

「うん。
ああ、そう言えば、学さんも今日は仕事らしいよ。
みんな忙しいみたいだね。
今日は諦めて帰ったら?」

「ああ、うん……」


私は釈然としない思いだったけど、でも口では頷いていた。


どういうこと?


「じゃ、またあとで」

「うん」


自分の楽屋へ戻っていく奏真君を見送りながら、私は呆然と立ちすくんだ。

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