女優デビュー
「事務所は私になんて、なにも期待してないんでしょ？
だから、ろくに演技の訓練もせずに撮影に入れたんですよね？
でも、私は安西さんの人気を高めるための道具になるつもりはありません！」


「……誰がそんなことを言ったんですか？」


「別に誰でもいいじゃないですか。
芸能界にはいろんな情報を教えてくれる親切な人がたくさんいるんです。
社長と石田さんが庄司さんに対して去年の暮れに仕組んだことも聞きましたよ。
ひどいことをしますね。
私はそんなふうに扱われるのはごめんですから」


私がそう言うと、石田さんは黙ってしまった。


ふん、やっぱりね。

思ったとおりだ。

契約期間が過ぎたら、やっぱ事務所移籍した方がいいかも。

帰ったら、お母さんにも相談してみよっと。

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