女優デビュー
「私、学さんが好きです。
好きなんです。
だから、練習なんかじゃなくて、ちゃんと告白してからファーストキスしてくださいって」


『たのむつもりだった』と続けるつもりだったんだけど。


その言葉は、学さんのキスに阻まれた――――




「本当にいいのか?
こんなおじさんで」


唇を離しながら囁かれ、私は首を振った。


「おじさんなんかじゃないもん」


私が上目遣いに反論すると、学さんは薄く苦笑いした。


「12も上だぜ?」


「私の誕生日が来れば、1つ差が縮まるでしょ」


「12歳と、11歳は、大きな違いか?」


「はい」


私が大きく頷くと、学さんはクスクス笑った。

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