女優デビュー
「じゃあ、公表することに関しては?」


「千夏はどうなの?
公表してもいいの?」


私はうつむいた。


「正直、どうするのがいいのかよくわからない。
でも、学さんがそうしようって言うなら、それでもいいかなって」


すると、そのときだけ、母は私の肩に手を置いて真剣な表情で言った。


「公表するってことは、千夏の将来に影響するかもしれないってことだけは覚えておきなさい。
もし、学君と別れるときが来て、千夏がまた別の人を好きになったとき、その人はあなたと学君との関係を知ってるってことになる。
それを知ってあなたを避ける男性もいるかもしれない。
それでもいいと思うなら、公表するのもいいんじゃない。
さっき学君も言ってたけど、公表すれば、堂々とデートもできるだろうし。
メリットとデメリットと両方をよく考えて結論を出したらいいわ」


「……わかった」

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