女優デビュー
私が相槌を打ったとき、オーダーした料理が運ばれてきた。


「おおっ、うまそう!」


奏真君の笑顔につられて私もニッコリ微笑んだ。


それからはおいしい料理に舌鼓を打ちながら、奏真君が前にやったドラマの話などで盛り上がった。


食事を終えると、奏真君は家まで私を送ってくれた。



「あ、そこの角で止めてください」

私が言うと、奏真君は車を左に寄せて止めてくれた。


「今日は楽しかったよ。
サンキュな」

「いえ、私の方こそ、ご馳走様でした」


私が頭を下げると、奏真君は携帯を取り出した。


「もしよかったら、また行こうよ。
アドレス交換、いい?」

「あ、はい」


私も携帯を取り出した。

うわあ、初めての芸能人とのアドレス交換!

ドキドキしながら連絡先を交換して携帯をしまうと、奏真君はシートベルトをはずして私に顔を近づけてきた。


え?

えええっ?


突然のことに私は固まった。

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