女優デビュー
ドキッ!

私が見てたの、わかってた?学さん。

っていうか、今のウインクはなに?

ううん、きっと意味はないのよ。

挨拶よ、挨拶。

まったく、奏真君といい、学さんといい、どうしてこう芸能界の男の人ってドキドキさせるようなことを簡単にするんだろ。

つい最近まで一般人だった私には心臓に悪すぎる!

きっと、本当に挨拶代わりだったんだと思うけど。

でも、心臓のドキドキはちっとも鎮まらなくて……



「あら?ちょっとチーク濃かったかしら」


舞い上がった空から戻ってきたナッキーさんが私の顔を見て言った。


メイクを直されても私は何も言えず、視線を泳がせていた――


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