女優デビュー
「落ち着いてたね。
とても初めてとは思えなかったよ」

「え、そんなことないですよ。
すごく緊張しました」

「そう?
全然そんなふうに見えなかったけどなあ。
この仕事、合ってるんじゃない?」

「そうですか?」

「うん、すっげえよかったよ。
これからもその調子で頑張ろうな!」

「はい、頑張ります!」


たとえお世辞だとしても、褒めて励ましてくれるその気持ちが嬉しかった。

奏真君、優しいな。

こっそり横顔を見上げた時、後ろから奏真君のマネージャーさんが追いかけてきた。

マネージャーさんは奏真君に一言二言囁いた。

それに頷き、奏真君は私を見た。


「ごめん、ちょっと急がなきゃいけないみたいだ、お先に」


私は軽く会釈して、足早に去っていく奏真君を見送った。

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