女優デビュー
「あ……」

「どうしたの?
具合悪い?」

「いえ……」


悟君の後ろには石田さんもいた。

私は立ち上がって石田さんに聞いてみた。


「石田さん。
私もっと上手く演じられるようになりたいんです。
どこかで演技の勉強させてもらえないですか?」


すると、石田さんは片方の眉を上げた。

「演技の勉強、ですか?」

「はい」

すると、石田さんは首を振った。

「その必要はありません。
あなたは十分自分の役目を果たしています」


そう言われても私は引き下がらなかった。

「私、もっと上手くなりたいんです。
安西さんみたいに役になりきった演技ができるようになりたい。
でも、どうしたら上手くなるのかわからないんです。
ディレクターさんも私には何も言ってくれないし。
何をやったら上手くなれるんですか?」

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