女優デビュー
学さんがドアを閉めると、悟君は私の顔を見た。


「じゃ、続き、やろうか」

「はい……」


私は気持ちを切り替えて悟君に向き直った。


「さっきのページの最後のセリフ、もう少しゆっくり言った方が感情がよく伝わると思うよ」

「はい、わかりました」


私は台本を開き、またセリフ練習を再開した。

悟君はわかりやすくセリフの言い方を直してくれるので、とても助かった。




「ね、千夏ちゃん、これ一緒に見に行ってみる?」


セリフ合わせが終わると、悟君は1枚のチラシを見せてくれた。

舞台のチラシだった。


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