女優デビュー
「千夏ちゃんと、悟!?」

「学さん!」


学さんは私たちを見比べて微笑んだ。

「君たちも来てたんだ。
仲いいんだねぇ」

からかうように言う。

「違います!
今日は演技の勉強のために連れてきてもらったんです!」

私がむきになって言うと、学さんは笑顔を深めた。

「そっか、勉強のため、ね。
頑張ってるんだな、エライエライ」

学さんは先日と同じようにまた私の頭をポンポンとたたいた。


もうっ!

なんかすごい子ども扱いされてる気がする!

そりゃあ、学さんから見たら私なんて12歳も年下の子どもかもしれないけど。

なんか悔しい。

でも……

やっぱり触れられるのは慣れなくて、ドキドキしちゃって、文句の一つも口からは出てこなかった。

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