女優デビュー
私達は3人並んでロビーへと出て行った。

ロビーはすでに閑散としていて、石田さんはすぐに見つかった。

石田さんは私達と学さんが一緒なのを見て、一瞬少し目を見開き、学さんに会釈した。

学さんも石田さんに気づいて声をかけた。


「マネージャーさんも一緒だったんだ。
大変ですね、こんなところまで。
千夏ちゃんが勉強熱心で、マネージャーさんとしても鼻が高いでしょう?」

石田さんは俯きかげんにあいまいに頷いた。

「ええ、まあ……」

すると、学さんは大げさに目を見開いた。

「あれ?あんまり嬉しそうじゃないみたいですね、石田さん。
計算違い、でしたか?」


すると、いつも冷静な石田さんが狼狽したようだった。

「いや、そんなことは……」


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