女優デビュー
ふわっと、学さんに後ろから抱きしめられた。

「ま、学さん?!」


私の首の前で交差された学さんの長い腕。

背中に温かい学さんの胸。

私はびっくりして固まった。


「上着ないから、その代わり」


頭上からそんな声が聞こえてきた。


いやいやいやいや。

上着代わりって!

ありえないからっ!!


急激に早まる鼓動に、私は夜景どころではなくなった。


「あ、あの、大丈夫ですから」


そう言っても、学さんは無言のまま体勢を変えない。

えーーーーっ

どうしよう。

心臓壊れちゃう!

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