俺様神様!
天狗は…佐助は、千歳の爪をかわしながら着物の帯へと手を伸ばす。


扇だ。


天狗の持ち物としてはポピュラーなそれで、佐助は風を作る。


最初は小さな、本当に扇としての用途で使用するときのような風だったのが、扇づたいに神通力を受け、一気に竜巻へと姿を変える。



大木を切り倒しながら進んでいく竜巻を、千歳は跳躍して避ける。

勿論その跳躍も、常識を越えたもので有り、鬼と狼の中間種という現実にはありえないような者の混血だということを示している。

しかしやはり、接近戦に持ち込みたいところだ。


「……俺達には牙と爪しか無いと思ったの?」




そう言って、千歳は折れた木の枝を手に取る。



次の瞬間、千歳の手の中で姿を変えた木の枝は、槍へと変わり。



「……は!上等だよ、妖魔!」



刀を鞘に納めて、佐助は居合の構えを取る。



所謂、抜刀の勢いを利用して相手を両断する技。




千歳は応戦するかのように、槍を自然体で構えた。




どちらかが生き

どちらかが倒れる。





閃光が交錯した。
< 111 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop