俺様神様!
「天狗もそんなもんか?」



そう言いながら、鬼狼と名乗った彼は、佐助の肩に噛み付く。


「……ッぁ…!」


やめて。やめてよ。


でも、言葉が出て来ない。


その間にも、肩と腹部からの出血は続く。



「…佐……助……」


思わず名前を呼ぶ。

佐助は噛み付かれ、苦悶の表情を浮かべたまま叫ぶ。



「……逃げろ!あ、かり」



牙を進めようとする妖魔が、止まる。



口を離すと、佐助を打ち捨てるように地面に転がす。
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