俺様神様!
「何を聞くのさ?」
「…まぁ、色々だよ」
ていうか、とあたしは付け加えた。


「佐助、大丈夫なの?」
…一番大事だった気もするけど。


「…天狗は頑丈なんだよ」


傷は異常な速度で癒える。


簡単に死ねるような存在ではない。


「…あいつら、何なの?」


「だから、妖魔だって。妖魔のボス的存在の、『鬼狼』。知性が高く、鬼と狼の特性を併せ持つ。俺達の敵だ」


「強いんだ、あいつ」


「妖魔の中では、な」


ち、と舌打ちをして、佐助は襖を開けて部屋に戻っていく。


…藤次郎さんのことを除いても、佐助はさっきから機嫌が悪い。





容易に原因は想像できる。





天狗の頭領となった自分が、それなりに力があると思っていた自分が、妖魔ごときに負けたから。



驕りはあったと思う。


頭領としての自負や自信もあったと思う。




全部引っくるめて、佐助はあの妖魔に、また、藤次郎さんに鼻を折られたんだ。




まだご飯までには時間があるから、あたしは佐助の後を追った。
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