ふたり*

昇降口を出た。しかし水城は教室から一言も話さない。どうしたのかな。でも話しかけるのがなんだか怖い。



ちらりと覗き込んだら目が合ってしまった。



「何、怖い顔してー。」



水城は笑って私を見る。私はほっと胸をなで下ろした。



「なんか果実、ビクビクしてない?」



私は無言で首を振った。水城は目線を合わせずにつくり笑った。



人通りの少ない住宅街に入った。水城との会話ははずんでいなかった。



すると突然、水城が真剣な顔でこっちを向いた。突然目が合ってしまい、私は目を逸らした。
< 59 / 74 >

この作品をシェア

pagetop