この想いを君に…4
世に言うお姫様抱っこ。

…んー、パパにされてもな。

「睦海、案外軽いな」

パパは窓の外に広がる暗闇と、そこをたまに走行する車のバックライトを見つめていた。

あたしも闇の中の光を追う。

「…睦海が小さい時もよく抱っこして外の風景を見つめていたなあ」

一瞬、昔のあたしとパパがそこにいるかのような錯覚を起こしかける。

…小さい時。

パパはレース前によくあたしを抱いていた、って色んな人から聞いているけど。

ひょっとしたらあたしを抱く事である種な不安を解消していたのかもしれない。



パパの体温がジワリジワリとあたしを包む。

温かさが伝わってくるにつれて不安とか重圧とか、あるはずの嫌な感覚が和らいでいく。
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