この想いを君に…4
祥太郎の顔が引き攣る。

リビングの入り口には祥太郎の奥さん、梓ちゃんが立っていた。

「…早く帰ろう、迷惑だからね!」

梓ちゃんの腕の中にはあたしと一緒の誕生日に産まれた楓ちゃんがすやすやと眠っている。

あたしは涙を拭いて立ち上がり、楓ちゃんの掌に人差し指を当ててみた。

すると、手を一瞬、広げたかと思うとあたしの指をギュッ、と握った。

「うわぁ!」

あたしはその感触がたまらなく嬉しくて笑うと

「欲しいならあげる」

祥太郎が言った瞬間、梓ちゃんの平手が祥太郎の背中に入った。
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