この想いを君に…4
「…俺の場合は」

パパは苦笑いをしながら続けた。

「睦海の産まれる前の色々な出来事をよく知っているから。
どちらかといえば知樹達よりも睦海が産まれる時の方が緊張したなあ…」

その目は。

懐かしい、遠い昔を見つめていた。

「ちょうど17年前の今日。
朝に入院したと連絡が入って堪らなかった。
あの日はちょうど決勝だったから余計に」



あたしも知樹も思わずパパの顔を真剣に見つめた。

だってパパは今まで。

こういう話を自分からした事がない。

ママからは嫌というくらい聞かされたけど。
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