この想いを君に…4
「睦海」

拓海くんはあたしの肩をしっかりと掴んだ

「君は僕のようになってはいけない。
まだまだしなくてはいけない事が沢山あるだろ?」

その真っすぐな眼差しで見つめられると…父娘とはいえ…ドキドキする。

「もし帰り方がわかったら迷わず帰るんだよ?」

あたしは頷く。

それを見て拓海くんは微笑んだ。



「ところで睦海」

拓海くんは少し楽しげにあたしに聞いた。

「今年、何勝してるの?」

「3戦全勝」

そう言うと拓海くんは目を真ん丸にして

「凄いな!!
僕なんかよりうんと凄いよ!!」



拓海くんは興奮気味にあたしを抱きしめる。

…きっと。

本当に生きていたら。

こんな感じに抱きしめてくれたんだろうな…
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