この想いを君に…4
「ホンマは引退してもそのままバイク屋の店員を続けられると思ってた」

光さんは残念そうにため息をついた。

「俺にとってはそれが一番幸せな事やったけど、なんせ跡取り。
…仕方ないなあ」

今でも本当は帰りたくない。

光さんはそう続けた。

「そうだな…
光の腕があればバイク屋でも十分だけど。
仕方ないよな」

パパも寂しそうに言った。

「ああいう条件を付けんと俺が帰って来えへんのをわかってるからな、ウチの親。
まあ、それで助かったけどな」

不況でレース活動を中止するチームが増えている中、光さんのお父さんの援助は本当にありがたい。
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